愛の流刑地

2007年3月21日 読書
渡辺 淳一 幻冬舎 2006/05

作家である村尾と小学生の子供を持つ主婦の冬香。恋に落ちた二人は、離れられない関係になっていく。
「幸せの絶頂で死ぬ。これこそが愛。」と言う冬香の願いを聞き入れて、彼女の首を絞めてしまった村尾。
殺人犯として捕らわれた村尾は、裁判を通して「愛」の形を主張し続けるが……

日本テレビで2夜連続のドラマ「愛の流刑地」を見た。
渡辺淳一の作品は好きで、「麻酔」「無影灯」など、結構はまって読んだが、「失楽園」あたりから、どうも手が伸びなくなっている。

この作品に関しては、本を読んでおらず、ドラマの感想になってしまうが、私は、この二人には共感できない。
愛の形は人それぞれなので、ふたりの愛を否定はしないが、「死」が愛の表現だとは、絶対に思えない。エゴの塊だと思う。
自分たちには、満足のいく瞬間があたえられたかもしれないが、周りの人たちの悲しみを考えない行動は、許しがたい。

ドラマの最後に、冬香の子ども(女)が、村尾に冬香の骨を入れたお守り袋を渡す。冬香の子どもはまだ小学生なので、「お母さんが好き」だからお母さんが幸せだったと思いたい一心で、村尾を許したかもしれないが、彼女がもう少し大人になったら、母親の気持ちを理解できるのかどうか。
私だったら、子どもの自分より、究極の愛を貫くことを選んだ母親を、許すことは出来ないと思う。許すと言うか、永遠に、理解は出来ないと思う。
自分が、母親だから、なおさらそう思う。

本を読んだら、この考えは変わるのか。
でも、今はまだ読む気にならない。

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