情けない話。

2005年11月8日
あれは大阪万博の翌年だったから30年以上も前になるのか、父方の祖父が亡くなった。今ごろになって、その祖父の遺産の話が持ち上がった。遺産といっても田舎の土地だが、父も亡くなっているので母と私と妹にもかかわる話となっている。
本家を継いだ長兄も亡くなり数年後の今、本家の跡継ぎである従兄弟が家を守ることが出来なくなった。様々な事情で、財産らしきものを整理している段階で、祖父名義のものが出てきたというわけだ。従兄弟はその家を出るつもりにしている。

「ぜーんぶ売って、皆で分けて終わりでいいやん」というと母もそれで良いと思っているようだが、3人のおば達が涙ながらに少しでも土地を残しておきたいと言うらしい。自分たちが生まれ育ったところが無くなってしまうのは、確かに寂しいことだろう。おば達の気持ちも汲めず、申し訳ないことを考えてしまった。
よくよく考えてみると、夏休みは毎年そこで過ごした。9人のいとこが全員でリヤカーに乗り、田んぼに落ちたこともあったっけ。子どもの頃には、養子の話が出て、さらには本家の嫁にといとこ同士での結婚話もあったらしい。(いずれも、両親が即断ったというが)不思議なほど、伯父に気に入られていたらしい。そんな、思いで深い本家が無くなるのは確かに寂しいことだ。
「こまアンさんが、おってくれたらのぉ」こまアンさんというのは、小さいアンさん(兄さん)のことで次男である父のことだ。こまアンさんが元気だったら仏さんはもちろん、若い者が出て行った本家に戻るということもあったかもしれない。やんちゃだったこまアンさんは、若いときの親不孝を悔やんでいたのでたぶんそうしたと私は思う。

そんなことを嘆いても仕方が無い。週末、母は父の姉である小倉に住む伯母と一緒に讃岐へ向かう。向こうでは、父の妹二人が待っている。いつかは、きちんとしなければならない問題だ。なにかしらの結論を持ち帰るだろうが、おば達の気が済めば母や私たち姉妹は何も言うことはない。三途の川向こうで祖父や祖母、父に伯父、みんな心配そうにしているかと思うと気がかりなことだ。

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